*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
子犬を小脇に抱えて村に戻ってきた灯を見て、小桃は跳び上がって喜んだ。






「アーカリーっ!! ありがとーっ!!」






腰の辺りに抱きついてきた小桃の頭を、苦笑しながら灯が撫でる。






「こんなに早く見つけられるなんて!!


すごいすごいっ!!

灯はやっぱりすごいっ!!」





小桃はぎゅっと抱きついたまま、きらきらした瞳で灯を見上げる。





「こいつが乳くさいから、すぐわかっただけだよ」




「えぇーっ!?」




「しかもすんすん鳴いてたしな」




「迷子になって寂しかったんだね!!

よかったねぇ〜っ!!」





小桃は子犬を抱きとり、頬ずりをした。







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