*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「あぁ………。


あれは、右大臣の六の君だそうだ」





「ふぅん………六の君、ね。


………なんで、瞳の色があんななんだ?」





「そんなことは、知らない」





「あの人が、怪我した灯を助けたの?」





「まぁ、そうだな。


でもあいつのせいで怪我したようなもんだけど」





「え? それ、どういうことだよ」






藤波が不思議そうに訊き返したが、灯はそれきり黙り込んで、答えようとはしなかった。






「………不思議な、きれいな瞳だった」





そう呟いた藤波を、灯が目を丸くして見る。





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