*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「………珍しいな。


ひねくれ者のお前が、他人を褒めるとは」





「別に俺、ひねくれてなんかないよ」





「ひねくれてる奴はだいたいそう言うんだよ」






灯は可笑しそうに笑みを零した。




子ども扱いされたように感じた藤波は、不満そうに眉を顰める。





「………灯だって、無愛想じゃん」





「そうか?」





「そうだよ。


………でも、いつもは、知らない人には無愛想なのにさ。


あのお姫さまには、ずいぶん気を許してたみたいだね?」






藤波は試すような目線を灯に向けた。







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