*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
簀子の向こうの庭先にひっそりと佇んでいたのは、年の頃まだ十にも満たないと思われる男童であった。
男童はその手に、漆の黒地に華やかな螺鈿で装飾された、典雅な硯箱を持っていた。
「ーーー六の君さまへ、お届けものでございます。
お納めくださいませ………」
男童は呟くように言い、深く会釈をした。
露草は「お預かりいたします」と儀礼的な返事をし、簀子まで降りていって硯箱を受け取った。
男童はそれを確認すると、小さく言う。
「お返事を持ち帰って参れとの仰せでしたので、待たせていただきます」
「分かりました、いますぐ、主人に渡して参りますので、しばらくお待ちくださいませ」
男童はその手に、漆の黒地に華やかな螺鈿で装飾された、典雅な硯箱を持っていた。
「ーーー六の君さまへ、お届けものでございます。
お納めくださいませ………」
男童は呟くように言い、深く会釈をした。
露草は「お預かりいたします」と儀礼的な返事をし、簀子まで降りていって硯箱を受け取った。
男童はそれを確認すると、小さく言う。
「お返事を持ち帰って参れとの仰せでしたので、待たせていただきます」
「分かりました、いますぐ、主人に渡して参りますので、しばらくお待ちくださいませ」