*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「なんとも優美で風雅なお歌でございますわ!!


わたくし、感動しております!!」






「まぁ、そうなの」






「お歌の意味は………。




春はまだ遠いなぁ。


きゅっと結んだままの蕾桜は、しみじみとあわれであるなぁ。



私の恋心を、あの人は知っているのだろうか………。




このような感じでしょうか」






「………へぇ?」






汀はまだ釈然としないように、眉根を寄せている。






「つまりですね。



このお文が結ばれていた桜の枝の蕾のように、私の恋心も、切ないことにまだ、恋しい人に知られず、蕾のままだ。



………いつになったら恋しい人は、私の恋心に気づいてくれるのだろうか、ということですわ」






「…………うーんと、つまり?」






「早く恋心に気づいてもらって、この恋の蕾が早く花開いてほしいということですわ!!」






「ふぅん………」








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