*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
首を捻っている汀の肩を、男ががしりと両手で掴んだ。





「私は長年、比類なき珍しきものものを探し求め、あらゆる手段を使って手に入れてきた。



しかしーーー青く輝く瞳などという類稀なるものは、見たことはもちろん、聞いたことさえなかった。



大納言よりそなたの話を聞いたときには、驚きのあまり我が耳を疑ったが………。


まさか、真であったとは!!」






「はぁ………」






汀の怪訝そうな相槌も気にかけることなく、男の熱に浮かされたような主張は続く。







「ーーーそなたの瞳は、私の理想だ!!




その美しき青の瞳を手に入れるためならば、私は………。




これまでに集めた全ての秘宝を、投げ打ってもかまわぬぞ!!」







「まぁ…………」








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