*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
すると男は、嬉しそうに笑みを零した。






「…………さよう。


私こそが、そなたの夫となる男。



私は春宮だ。


畏れ多くも今上帝がご退位なされたあかつきには、私は帝になるのだよーーー」








「……………」








どう返すべきなのか分からず、汀は押し黙っていた。





春宮は汀の肩を抱く手に力をこめ、膝を突き合わせるような態勢になる。





そして笑顔を崩さずに、言い聞かせるように話し始めた。






「そなたは、幸せ者だぞ」





「……………え?」







訳が分からず、汀が眉を顰める。









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