*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
(…………ここに、この私の宝物庫に、あの青い瞳を並べる…………)





世にも稀なる薄花色の双眸が、この薄暗い部屋に陳列される様子を想像し、春宮は恍惚とした表情を浮かべた。







(どこに置こうか。



あの澄み切った青の瞳は、唐渡りの青玉………もしくは蜻蛉玉のようであった。



やはりこの、唐物を飾っている二階厨子のあたりに並べるのがよかろうな………。



いや、しかし、我が国古来の勾玉と並べ置くというのも乙であるな………)






春宮は部屋中をうろうろと行き来しながら、ああでもないこうでもないと考えを巡らせる。








(ーーーあぁ、欲しい。



あの瞳が、欲しい。



一刻も早く、ここへーーー)








春宮の夢想は、とどまることを知らないのであった。







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