*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語







「………ねぇ、群雲」



「ん?」




群雲は愛刀の刃を砥ぎながら、視線を上げずに答えた。





傍らでその様子を眺めていた檀弓は、素っ気ない反応を気にすることなく、言葉をつなぐ。






「灯ったら、最近、どうしちゃったの?」





「…………あ?」






灯という言葉を聞いて、群雲は手を止め、目を上げた。






「灯が、どうした?」





檀弓は微かに眉根を寄せ、うーんと考え込むように言う。





「なーんか変じゃない? あの子」







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