*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「………だから、どうもしないって。
お前が訳のわかんないこと言うから、驚いただけさ」
灯は言い訳がましく呟くが、それで群雲が納得できるはずもない。
「…………いや、だからって、落ちるか、普通?」
「……………」
「あんな落ち方………気でも失ったのかと思って、俺は焦ったぞ」
「……………」
それきりだんまりを決め込んだ灯に、群雲は肩を竦めた。
(………檀弓が、恋煩いかも、だなんて言うから、まさか思ったが突ついてみたら………。
もしかして、本当に?
他人に興味を持たない、あの灯がーーー)
ずぶ濡れのまま佇む灯に、群雲は自分の単を脱いで着せかけてやる。
その間も群雲は、信じられないといったような表情を抑えることができなかった。
お前が訳のわかんないこと言うから、驚いただけさ」
灯は言い訳がましく呟くが、それで群雲が納得できるはずもない。
「…………いや、だからって、落ちるか、普通?」
「……………」
「あんな落ち方………気でも失ったのかと思って、俺は焦ったぞ」
「……………」
それきりだんまりを決め込んだ灯に、群雲は肩を竦めた。
(………檀弓が、恋煩いかも、だなんて言うから、まさか思ったが突ついてみたら………。
もしかして、本当に?
他人に興味を持たない、あの灯がーーー)
ずぶ濡れのまま佇む灯に、群雲は自分の単を脱いで着せかけてやる。
その間も群雲は、信じられないといったような表情を抑えることができなかった。