*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
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「姫さま!
また、お品物が届きましたわ!」
「まぁ、またなの?」
露草が大きな筥をいくつも抱えて母屋に入ってきたので、汀は目を丸くする。
あまりに重そうなので、さっと立ち上がって上の二つの筥をとってやった。
「あっ、ありがとうございます、姫さま」
「いいのよ。
だってこれ、私への品なのでしょう。
私が運ぶのが当然だわ」
「まぁ、またそのような………」
露草は申し訳なさそうに言った。
二人が床に筥たちを降ろすと、青丹丸がふんふんと鼻をうごめかせながら近づいてくる。
興味津々といった様子で筥の匂いを嗅いでいた青丹丸は、一つの筥の前で足を止めた。
そのまましばらく、その筥の匂いを嗅いでいる。
「まぁ、青丹丸、中が気になるの?」
汀は笑って、その筥の蓋を開けた。