*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「………私のお母さまはね。


お身体の弱いお方で………ほとんど邸で臥せていらっしゃるの。



とってもお美しくて、お優しい方よ。




ご病気がちだから、なかなか文のやりとりさえままならないのだけど………。





私はね、母の家では、あまりよく思われていなかったの。



この瞳の色を見て、お母さまの親、つまり私のお祖父さまとお祖母さまが、不気味がられて………。




私の実家は都の外れの田舎だし、古風な方たちだから。



使用人たちもどこかよそよそしくて。




そんな中で、お母さまだけは私を愛して、慈しんでくださったわ」








「…………まぁ」







露草はどう答えればいいのか分からなかった。







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