*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
青丹丸を懐に入れ、必要最低限の着替えや日用品だけを帛紗(ふくさ)に包むと、汀は露草を連れてひっそりと母屋を出た。
そのまま廂へ下り、近くに誰もいないことを確認すると、簀子まで下りて階をくだり、庭へと降りた。
そして何食わぬ顔で二人並んで、使いに行く下女のような振りをして、邸の裏、台盤所の方へと向かっていった。
夕飯の準備をしているらしい女たちの脇を静かに通り抜け、裏門へと向かう。
その脇に、小舎人童たちが集まっていた。
どうやら休憩時間中の雑談を楽しんでいるらしい。
汀と露草は、わき目もふらずにそこを通り過ぎようとしたのだが。
「……………あれ?」
ふと二人に目を向けた童が、小さく声を上げた。
そのまま廂へ下り、近くに誰もいないことを確認すると、簀子まで下りて階をくだり、庭へと降りた。
そして何食わぬ顔で二人並んで、使いに行く下女のような振りをして、邸の裏、台盤所の方へと向かっていった。
夕飯の準備をしているらしい女たちの脇を静かに通り抜け、裏門へと向かう。
その脇に、小舎人童たちが集まっていた。
どうやら休憩時間中の雑談を楽しんでいるらしい。
汀と露草は、わき目もふらずにそこを通り過ぎようとしたのだが。
「……………あれ?」
ふと二人に目を向けた童が、小さく声を上げた。