*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「と………とりあえず。


あっちへ行ってみましょうか。



なんだか人がたくさんいて、楽しそうだし!!」








多くの人々が歩いていく方向を、汀は指差した。




露草がその方を見て目を丸くする。







「…………えぇっ?


人目が少ない方が、よろしいのでは?」







露草が戸惑ったように言うが、汀は笑って首を振った。







「いえ、たくさん人がいたほうが、紛れてしまえるから安心な気がするわ!」







「まぁ、なるほど。


おっしゃられてみると、そういう気もいたします」








「よしっ!!


じゃ、あっちへ行ってみましょ!」









見るからに頼りなげな女二人連れで、汀と露草は庶民の流れに呑まれていった。









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