*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
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灯と藤波は居待月が天心を過ぎたころに都に着いた。
聞き込みをするには刻限が遅すぎたので、とりあえず安宿に泊まって休息をとった。
翌朝目を覚ますと、東二条邸についての情報を仕入れるため、市へ出て二手に分かれた。
まずは、右大臣殿の六の君の入内の予定。
これについては、婚儀の準備があるからまだまだ幾月も先のはずだという意見が多かった。
しかし一部、右大臣殿は六の君を早々に入内させて自らの権勢の基盤を確かにしたいらしい、という噂も聞こえてきた。
また、六の君の入内の関連で、東二条邸の人手が分散する可能性の高い日はいつなのかも、必要な情報だった。
これについては、生半可な調べではなかなか分からなかった。