*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
すると汀は、にんまりと悪戯っぽく笑う。






「ーーーだぁいじょうぶよ。



私に任せて!」







汀が自信たっぷりな表情で笑ったが。







(………任せてったって。


自分だって今から閉じ込められるのに。



………一体どうするつもりなんだ?)








藤波が再び首を捻っていた、その時。
















「ーーーーーあっ!!!」










汀が突然、素っ頓狂な声を上げた。







周りの者たちが、びくりと肩を震わせる。





汀は驚いたような表情で口許を袖で覆いながら、東の月を指差す。







「あそこに、月の都からかぐや姫を迎えに来た天人(あまびと)たちが!!」







「えぇっ!!??」







皆が思わず、汀の指した方を見た。









< 437 / 650 >

この作品をシェア

pagetop