*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語







「なぁ、お前さん。


白縫山の火影童子なんだって?」







「……………」







「いやぁ、なんか嬉しいなあ!


噂の的の火影童子に直接ご対面できるなんてな!」






「ああ、ほんとだよ!


なんせ庶民にとっちゃぁ英雄みたいなもんだもんな!」






「………………」






「なぁなぁ、その赤い髪、本物なのかい」






「ああ、俺も気になってたんだ!


鬘か染め物なんじゃないのかい?」







「……………」






「なんだいなんだいお前さん。


乗りが悪いねぇ」






「ずいぶんと無愛想な男だなあ」







「……………」








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