*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
殺しも犯していない盗人に対するにしては、厳しすぎる処罰だった。



だが、灯は平然とした顔で聞いていた。





その態度があまりにも冷静なので、看督長は訝しげに訊ねる。







「………お前、言葉は分かっているのか?



二日後、死刑になるんだぞ?」







「…………あぁ、わかった」







「本当に分かっているのか?



明後日、死ぬんだぞ」







「………そんなに何度も言わなくていいさ。




ただ、………ずいぶんと怨念のこもった処罰だな。



誰の怨念かは知らないが………」







灯はどこか飄々とした様子で、可笑しそうに呟いた。







看督長は呆れたように肩を竦め、そのまま立ち去った。








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