*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
必ず汀を助けると言った灯の言葉を信じないわけではなかったが。
何重にも警備が敷かれた内裏に、いくら盗賊とはいえ侵入できるはずもなかった。
(ーーーあぁ、姫さまは、どうなってしまわれるのだろう………)
春宮が送ってよこした数々の不気味な贈り物たちを横目に、露草は不安を抑えきれないのだった。
そんな露草の心を知るよしもなく、汀はのんびりと青丹丸と遊んでいる。
使い古した絹布を振り回して、青丹丸がそれにじゃれついていた、その時。
「…………ご出立のお支度が整いました」
妻戸の向こうから、告げる声が聞こえた。
何重にも警備が敷かれた内裏に、いくら盗賊とはいえ侵入できるはずもなかった。
(ーーーあぁ、姫さまは、どうなってしまわれるのだろう………)
春宮が送ってよこした数々の不気味な贈り物たちを横目に、露草は不安を抑えきれないのだった。
そんな露草の心を知るよしもなく、汀はのんびりと青丹丸と遊んでいる。
使い古した絹布を振り回して、青丹丸がそれにじゃれついていた、その時。
「…………ご出立のお支度が整いました」
妻戸の向こうから、告げる声が聞こえた。