*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「わかった、いま行くわ」
汀はそう声をかけると、すっと立ち上がった。
露草もそれに従い、立ち上がる。
その時、青丹丸が後脚で立ち上がって、汀の足に縋りついた。
「………あら、青丹丸。
あなたはだめよ」
汀は中腰になって青丹丸の頭を撫でた。
つぶらな目を覗き込みながら、言い聞かせるように囁く。
「言ったでしょう?
………春宮さまは犬がお嫌いだから、あなたを連れて行ってはだめなの。
私だって寂しいけど………仕方がないものね」
汀は悲しげに微笑み、青丹丸に頬ずりをした。
汀はそう声をかけると、すっと立ち上がった。
露草もそれに従い、立ち上がる。
その時、青丹丸が後脚で立ち上がって、汀の足に縋りついた。
「………あら、青丹丸。
あなたはだめよ」
汀は中腰になって青丹丸の頭を撫でた。
つぶらな目を覗き込みながら、言い聞かせるように囁く。
「言ったでしょう?
………春宮さまは犬がお嫌いだから、あなたを連れて行ってはだめなの。
私だって寂しいけど………仕方がないものね」
汀は悲しげに微笑み、青丹丸に頬ずりをした。