*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「まぁっ!
やっぱり内裏というのは、なにもかもがきらびやかで麗しいのねぇ。
なんだか、目がちかちかしてしまいそうだわ」
汀はうきうきとした様子で、丹塗りの柱を触ってみたり、漆塗りの調度を覗きこんでみたりと忙しい。
その後ろを、露草がしずしずとついて歩く。
「まことに、このわたくしが内裏へ足を踏み入れる日が来ようとは………。
このような光栄にあずかることができましたのは、姫さまのおかげにございます」
お目付役としての自意識を捨てた露草は、内裏探検という姫君らしからぬ行為を、今はもう当たり前のように認めていた。
その変貌ぶりに苦笑しながら、汀は答える。
「あら、それはどうも。
………ま、私は何もしてないんだけどね」
やっぱり内裏というのは、なにもかもがきらびやかで麗しいのねぇ。
なんだか、目がちかちかしてしまいそうだわ」
汀はうきうきとした様子で、丹塗りの柱を触ってみたり、漆塗りの調度を覗きこんでみたりと忙しい。
その後ろを、露草がしずしずとついて歩く。
「まことに、このわたくしが内裏へ足を踏み入れる日が来ようとは………。
このような光栄にあずかることができましたのは、姫さまのおかげにございます」
お目付役としての自意識を捨てた露草は、内裏探検という姫君らしからぬ行為を、今はもう当たり前のように認めていた。
その変貌ぶりに苦笑しながら、汀は答える。
「あら、それはどうも。
………ま、私は何もしてないんだけどね」