*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語







「…………なにこれ」





汀は色を失った唇を震わせながら、膳の上に並ぶ料理を見つめる。








特に目を引いたのは、どう見ても虫にしか見えない青鈍色(あおにびいろ)の物体が大盛りになっている皿である。







「…………きゃあっ!」





汀の蒼白な顔を見て膳を覗き込んだ露草は、はしたなくも大声を上げてしまった。








「…………こっ、これは何でございますの、姫さま!!」






「そっ、それは私が訊きたいわよ!!



なんなの、この細長い手足のようなものは!?」








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