*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
二人は抱き合うようにして身を仰け反らせる。






すると、膳の脚に結びつけてある文が目に入った。






「これは、まさか…………」






汀はおそるおそる、その文を手にとった。







「…………春宮さまのご筆跡でございますわね」








そこに書いてあったのは。







『真澄鏡(まそかがみ)


清き目の人 忘られず


青を眺めて 夜々過ごしけり』










「ーーー真澄鏡のように清らかな瞳の人を忘れることができずに、青いものを眺めて毎夜を過ごしていることだよ。



………といった意味でございましょうか」






露草は汀が理解しやすいように解釈をしてみせた。








< 462 / 650 >

この作品をシェア

pagetop