*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
さらにその歌の下に、一言添えてあった。
『我の愛でし青き物ども 召したまへ』
露草は目を瞬かせ、うーんと唸った。
「………つまり、春宮さまは毎日姫さまを思い出されて、青いものをご覧になったり、召し上がられたりなさっていたのですわ。
それで、その青いものたちを姫さまも召し上がられて、春宮さまのお気持ちをお察しいただきたい、ということではないでしょうか」
「…………まぁ………」
そう言われてみれば、膳の上に載っている料理は確かに青みがかったものばかりであった。
春宮の文にある目録を参照してみると。
青鈍色の羽虫の佃煮。
青大将の蒲焼。
青海星(あおひとで)の煮物。
青虫の漬物。
………その他、普通ならば決して食事には用いられないようなものが調理されて、器に盛られていた。
『我の愛でし青き物ども 召したまへ』
露草は目を瞬かせ、うーんと唸った。
「………つまり、春宮さまは毎日姫さまを思い出されて、青いものをご覧になったり、召し上がられたりなさっていたのですわ。
それで、その青いものたちを姫さまも召し上がられて、春宮さまのお気持ちをお察しいただきたい、ということではないでしょうか」
「…………まぁ………」
そう言われてみれば、膳の上に載っている料理は確かに青みがかったものばかりであった。
春宮の文にある目録を参照してみると。
青鈍色の羽虫の佃煮。
青大将の蒲焼。
青海星(あおひとで)の煮物。
青虫の漬物。
………その他、普通ならば決して食事には用いられないようなものが調理されて、器に盛られていた。