*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
女性の姿が見えなくなってから、露草は汀のもとへと戻って側に控えた。
「…………姫さま」
「なんだったの? 露草」
澄んだ瞳に見つめられ、露草は気まずそうに目を伏せながら、呟くように答える。
「………今宵、春宮さまの夜の御殿(おとど)へ、お召しがございました」
「ーーーーーえ?」
汀はすぐにはその意味を理解できなかった。
露草がもう一度、分かりやすく言い直す。
「今宵、ご寝所へ参られるようにと………春宮さまがお呼びでございます」
「……………っ!」
汀の目が、これ以上ないほどに大きく見開かれた。
「…………姫さま」
「なんだったの? 露草」
澄んだ瞳に見つめられ、露草は気まずそうに目を伏せながら、呟くように答える。
「………今宵、春宮さまの夜の御殿(おとど)へ、お召しがございました」
「ーーーーーえ?」
汀はすぐにはその意味を理解できなかった。
露草がもう一度、分かりやすく言い直す。
「今宵、ご寝所へ参られるようにと………春宮さまがお呼びでございます」
「……………っ!」
汀の目が、これ以上ないほどに大きく見開かれた。