*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語








「ーーーここでいいのか」




「うん………たぶんね」






群雲の低い問いに、藤波も小さく答えた。




しゃがみこんで様子を窺っている二人の後ろに、白縫党の三人若衆、黒松・青竹・白梅、そして四つ子の卯花・糸萩・楪葉も座っている。






「灯、あそこの牢獄に入れられてるの?」





楪葉が不安そうな声で卯花に訊いた。





「みたいね………」





卯花が小さく頷いた。





「さっき町民たちが話してたの聞いちゃった。


『火影童子の処刑を見に行こう』って………」





糸萩が泣きそうな声で言った。









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