*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
その言葉に、藤波は思わず噴き出しそうになった。







「うーん………妖艶な美女、っていうのはなんか違うかな。


群雲も、会ってみれば分かるよ、きっと」






「そうか………」








群雲は溜め息をもらしながらも、他ならぬ灯のためならばと頭を巡らせた。




内裏の奥深くに侵入するための策を黒松と共に練り、連れていく人数を絞り、面子を考えて呼び出し、作戦の概要を知らせた。






たっぷり丸一日かけて準備をした後。




しっかりと睡眠をとらせた三人若衆と四つ子、その他数人を連れて、灯の処刑当日の朝早くに、華月京へと入ったのである。









そうして、彼らは今、灯が囚われている地下牢のすぐ側までやって来ていた。









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