*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「………どうしますか、お頭」






群雲のすぐ横までにじり寄った黒松が、ひっとりと声をかけた。






「あまり大人数で侵入するのは得策ではないかと思いますが」






「ああ………そうだな。


もし万が一、誰か一人でも捕まってしまったら意味がない」






「外で騒ぎを起こして、見張り番たちが外へ出てきたところで中に入りましょうか」






「―――いや、それだと賭けだ。


見張り番が出てこなければどうにもならない」






「…………」






「………よし、こうしよう」






不意に顔を上げた群雲は、仲間たちを振り返り、策略を伝えた。








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