*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
猫の膝の剥製など、哀れで不気味で見たくもなかった。




しかし春宮の言上はまだ続く。






「日々寸暇を惜しんで磨いているからな。


このようにだんだんと艶が出てきたのだよ………。



のう、この青光りする額の部分が、そなたの瞳の色に似ているだろう。


だからな、私の一番の宝なのだが、そなたにあげようと思うのだ」






「……………」








まさにありがた迷惑というやつである。





汀は一刻も早く春宮が立ち去ってくれることばかりを願いながら、夜着の中で震えを押し殺していた。







「さぁ、妻よ!!


私の想いの深さが分かったろう?



………さ、恥ずかしがらずに………。


優しくしてやるからな………」







春宮は一気に夜着を剥ぎ取った。








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