*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
そのようなてんやわんやの狂騒の只中で。





「ーーー青丹丸!!


あなたったら………こっそり唐櫃に隠れてついて来ていたのね!!」






「くぅん、きゅぅん」






唐櫃の中の装束に紛れるようにして、青丹丸が東二条殿からついてきたことを悟り、汀は驚いた。






「まぁ………狭かったでしょう?


暗かったでしょう?


息苦しくはなかった?」






「くぅん………」






「そうよね、寂しかったのよね。


………あなたがいてくれて助かったわ、ありがとうね」






「きゃん!!」






汀は青丹丸を懐に抱きしめ、何度も何度も頬ずりをした。







< 498 / 650 >

この作品をシェア

pagetop