*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
そこに、騒ぎを聞きつけ局から飛び出してきた露草が飛び込んできた。





「姫さま!!」




「露草ーーー!!」





青丹丸を間にはさんで、二人はひしと抱き合った。





そのあと露草は春宮の方へ向き直った。






「………春宮殿下。


わたくしは、姫さまの女房をおおせつかっております露草と申す者でございます」






「…………う、うむ。そうか」







突然やって来た露草に驚きながらも、春宮は平静を装って答える。






「ーーー春宮さま。



畏れながら、お耳に入れたく存じますことがございます」





露草は眉を曇らせて、静かに言った。







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