*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「………群雲」





群雲の傍らに着地した灯が、すぐに口を開く。






「どうだった、灯」






「どうやら内裏の奥で何かあったらしい。


いま衛士たちが動いて、門の警備が手薄になってる」






「そうか………行くなら今だな」






「ああ」







その会話を後ろで聞いていた四つ子と三人衆たちは、さっと顔を引き締めた。





群雲は振り返って合図する。





予定通り、まずは足の速い灯と白梅が駆け出した。





灯が見たとおり、やはり御垣守は二人しか立っていない。




しかも、内裏の方が気になるのか、二人ともちらちらと奥へ目を遣っていた。








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