*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
(ちょろいな………)






灯はにやりと笑って、大柄な方の衛士を手刀で気絶させた。





突然もんどり打って転がった相棒に驚き、小柄な衛士は目を瞠って視線を地に落とす。





その背後に立った白梅は足をひっかけて転ばせ、武器を全て奪った。






瞬く間に御垣守二人を使い物にならなくしてしまった灯と白梅は、さらに宮中奥深くへと踏み出した。





それを見てとった群雲たちも、すぐに後を追った。






案の定、衛士の多くが内裏の方へ移動したらしく、大内裏のほとんどの区域には警備が敷かれていなかった。







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