*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
差し出した手を避けるように汀が身を引いたので、まだ恥じらっているのかと春宮は微笑ましく思う。
「ほんにそなたは、奥ゆかしき姫よのう。
まぁ、そういうところも愛らしいがな………。
恥じらうことはないのだぞ、今宵から妹背(いもせ)の仲になるのだからな」
(………やっぱりこの人には、一生話が通じるとは思えない!)
汀は絶望的な表情になった。
春宮は無理やり近づき、露草を押しのけて汀の腕を握る。
ぐいと引っ張り、力任せに立ち上がらせると、腕の中に抱えこんだ。
その勢いで、汀の腕から青丹丸が転がり落ちた。
「青丹丸!! 大丈夫!?」
「………きゅうん」
青丹丸が衝撃で目を回してしまったので、ここぞとばかりに春宮はその首根っこをつかんだ。
そのまま近くにあった冠箱ほどの大きさの筥に入れ、蓋をしてしまう。
「ほんにそなたは、奥ゆかしき姫よのう。
まぁ、そういうところも愛らしいがな………。
恥じらうことはないのだぞ、今宵から妹背(いもせ)の仲になるのだからな」
(………やっぱりこの人には、一生話が通じるとは思えない!)
汀は絶望的な表情になった。
春宮は無理やり近づき、露草を押しのけて汀の腕を握る。
ぐいと引っ張り、力任せに立ち上がらせると、腕の中に抱えこんだ。
その勢いで、汀の腕から青丹丸が転がり落ちた。
「青丹丸!! 大丈夫!?」
「………きゅうん」
青丹丸が衝撃で目を回してしまったので、ここぞとばかりに春宮はその首根っこをつかんだ。
そのまま近くにあった冠箱ほどの大きさの筥に入れ、蓋をしてしまう。