*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「ーーーあっ、灯!!」




二人で並んで村の中を歩いていると、年少の子どもたちの集団がわらわらと寄ってきた。




その中には、ひときわ目を輝かせている小桃の姿もあった。





「灯、いつ帰ってきたの!?」





腰のあたりに縋りついて訊ねてくる小桃に、灯はかすかに目許を緩めて答える。






「おはよう、小桃。



俺たちが帰ったのは今朝はやくだよ。


みんな疲れていて、そのまま寝てしまったんだ」






「そうなんだぁ! お疲れさま!」







満面の笑みで灯を見上げていた小桃は、その傍らににこにこと立っている汀に気づき、眉根を寄せた。







「…………だれ? この人………」








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