*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
汀と父との確執を聞いた群雲は、納得したように何度も頷いた。




そうしておもむろに口を開く。






「…………つまり。



お前さんの父君は、お前さんとの約束を破っていたわけだな。


そして、自らの立身出世のために、お前さんを春宮に輿入れさせた………」






「ーーーええ。


悲しいけど、そういうことになるわねぇ………」






さみしそうに笑う汀を、灯は隣でじっと見つめている。





そんな二人を見比べながら、群雲が大きく手を鳴らした。






「ーーーよし、分かった。


そういうことなら、白縫党の本領だな」






「…………え?」







汀は目を瞬かせながら、首を傾げた。




群雲がにやりと笑う。






「お前さんの父君のお邸に、盗みに入ろうーーー」







「…………え??」







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