*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
汀は訳が分からずにしばらく固まっていたが、唐突に叫び声を上げた。






「………えっ。


えぇぇっ!?



あっ、あなたたち、本当に盗賊なの!?」







「……………は?」







「……………ん?」








灯と群雲は目を丸くして顔を見合わせた。




そうして群雲が囁くように灯に訊ねる。






「お前………このお嬢さんに、言ってなかったのか。


白縫党は盗賊団だって………」






「いや、そりゃ別にわざわざ言ってはいないが。


でも分かるだろう、普通………。


あいつの家にだって盗みに入ったんだし」






「………だよなぁ………」






「どうしようもない間抜けだ………」








群雲は苦笑すると、改めて汀に向き直った。







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