*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
隣で灯が頷き、口を挟む。





「お前が入内することになって、お前の父親はずいぶん良い思いをしたんじゃないのか?」





問われて、汀は思い出した。






「そういえば、入内の話があってから、邸じゅうにお祝いの品が溢れていたわ」






群雲は腕を組んで口角を上げた。






「よし、じゃあそれを頂こう。


お前さんのお陰で手に入ったものなんだ
、頂戴する義理があるだろう?」






「そうね………あたたかそうな生地の反物があったから、お衣装を作るのにいいわね、きっと。



ああ、それに、栄養のある保存食とかもあったから、お母さまに差し上げたいわ」







汀はうきうきと想像を巡らせはじめた。








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