*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
隣を歩く灯を見上げて、汀が小さく言う。





「………あのね。


私のお祖父さまとお祖母さまは、私のことを恐れていらっしゃるの」






「……………」






「瞳の色のせいなんだけど。


どこの馬の骨の子か分からないとおっしゃって………」







「………そうか」






「だから、お二人にはお会いしないようにしなきゃ」







不安そうに家の方を見る汀の頭を、灯は優しく撫でる。







「………分かった。


じいさんとばあさんの居場所が分かったら教える。


そこを避けて行けばいいんだろう」







汀はほっとしたように微笑んで頷いた。








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