*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
うつ伏せて横たわっている肩は、衣装ごしでも分かるほど、痩せ細って骨ばっている。




自慢だった艶めく長い黒髪は、真っ白になってしまっていた。






「………お母さま」






汀は泣きそうな声で母の傍らに腰を下ろした。




そっと身を屈めて、その顔を覗き込む。





伏せられた瞼が痩せ、頬がこけ、唇が乾いていた。





それでも、美しい造作の面影は残っている。






このような状態になるまで、何も気づかずに放っておいてしまったことを汀は深く後悔した。





胸を締めつけるような痛みに耐えながら、掠れた声で小さく語りかける。







「………あぁ、お母さま………。



これまでの親不孝を、お許しくださいませ………」







青く澄んだ瞳に涙が溢れ、白い頬を伝う。






その一雫が、痩せた頬にぽとり、と落ちた。








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