*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「ーーーん………」
小さな呻きが乾いた唇から洩れて、痩せた瞼がゆっくりと上がる。
「……………お母さま」
汀は息を呑んで小さく呟いた。
虚ろな瞳がぼんやりと彷徨い、傍らの青い瞳の上にとまる。
「…………あら」
掠れてはいるものの懐かしい声を聞き、汀は目を細めた。
「…………お母さま。
私ですーーー汀です」
嬉しそうに微笑む汀の顔を、帳の向こうから灯がじっと見つめている。
夜着の中に横たわったまま汀を見つめていた母が、ゆっくりと口角を上げた。
「…………あら、まぁ。
あなた………なんて、きれいな瞳を、しているの………。
まるで、小春日和の空のようね………」
小さな呻きが乾いた唇から洩れて、痩せた瞼がゆっくりと上がる。
「……………お母さま」
汀は息を呑んで小さく呟いた。
虚ろな瞳がぼんやりと彷徨い、傍らの青い瞳の上にとまる。
「…………あら」
掠れてはいるものの懐かしい声を聞き、汀は目を細めた。
「…………お母さま。
私ですーーー汀です」
嬉しそうに微笑む汀の顔を、帳の向こうから灯がじっと見つめている。
夜着の中に横たわったまま汀を見つめていた母が、ゆっくりと口角を上げた。
「…………あら、まぁ。
あなた………なんて、きれいな瞳を、しているの………。
まるで、小春日和の空のようね………」