イケメンの顔面踏んづけた結果。
「くだんねーって…よくそんなこと言えるね?こんなに皆が頑張ってる時に。
関口だって、一応陸上部のエースなんだよアイツ?
それなのに自分が言いだしっぺだからって、絶対成功させるって毎日…」
「うっせーな黙れよ!!!」
ふいに声を荒げた新藤慧が、イラついたように地面を蹴って立ち上がった。
「さっきから関口関口うるせーんだよお前。
つーかお前、アイツとやけに仲良いよな?なんなの、好きなのかよ?」
…は?
突拍子もないアイツの質問に、思わず口が開く。
「な、なに言ってんの?今はそんな話じゃなくて」
「そんな話ってなんだよ」
いつの間にかすぐ目の前に来ていた新藤慧が、強くあたしの腕をつかんだ。
「聞いてんだろ?好きか嫌いか、どっちだよ」
新藤慧の怖いくらい真剣な瞳が、あたしを至近距離からまっすぐに捉える。
腕をつかむ手に、ギリギリと力が入って。
「っ痛」
思わず身を引くと、新藤慧がハッとしたように手をはなした。
「…つか何でこんなこと聞いてんだよ俺」
「し、新藤慧…?」
ボソッと何か呟く新藤慧が、なんだかいつもとは違くて
「……イライラすんだよ、お前」
新藤慧は一瞬あたしを見て、それだけ言うと早足であたしの横をすり抜けていった。
…なんなんだよ。
イライラすんのは、こっちだって同じだ。