イケメンの顔面踏んづけた結果。
「…あ、」
バチッと不意に、ぶつかった視線。
関口は近くにいた部員に何か言うと、あたしの方に小走りで近づいてきた。
「…見てた?」
沈みかけの夕日に照らされた関口の顔が、逆光でよく見えない。
「見てたよ。めっちゃ速いね、関口」
目を細めながら答えると、ハハッと関口の笑う声がした。
「まーな、毎日がんばってるし!」
「中学の頃から一回も部活休んだことないんだもんね」
「え、何で知ってんの?」
ちょっと驚いたような声を出す関口に、今度はあたしが笑った。
「覚えてないの?中3の頃、関口が超自慢げにそう言ってたんじゃん」
「…そうだっけ」
関口はバツの悪そうに頭をかくと、
「今帰り?」
そう聞いてきた。
「うん」
「ふーん…じゃぁさ、一緒に帰んねぇ?」
「え?」
「もうちょっとで部活終わるし。
ソッコーで仕度してくっから!」
「…あ、うん。わかった」
ヘヘッと嬉しそうに笑った関口は、「絶対待っとけよ?」とダッシュで部室に向かう。
そんなにガチでダッシュしなくても…
驚いたように関口を振り向く周りの部員に、あたしまで笑ってしまった。