イケメンの顔面踏んづけた結果。
「お待ちしておりました、慧様」
「おう」
校舎を出るとなんと――
門のところに明らかに高級感を醸し出した黒塗りの車とともに、スーツを着た男の人が待っていて、深々と奴に頭を下げた。
…こ、これってあのマンガの世界とかでよく見る執事さんってやつ!?
「…失礼ですが、そちらの方は…?」
思わずガン見しているあたしに気付き、不思議そうに視線を移してくる執事さん。
「あっ初めまして岡あや「あー奴隷」
慌てて自己紹介をしようと口を開いたら、だるそうにそう言う奴に遮られた。
「そうでございますか」
なんて執事さんは真顔で納得してるし!
「ちょっとだからその紹介やめてって」
「うるせーないいから早く乗れ」
文句を言うあたしを後部座席に押し込み、隣に乗り込んでくる新藤慧。
執事さんがドアを閉めて、驚くほど静かに車が走り出した。