イケメンの顔面踏んづけた結果。
「…あー疲れた」
気怠そうに座席の背もたれにもたれる新藤慧。
撮影が終わると、行きと同じように執事さんが車で迎えに来てくれた。
…やっぱコイツって本物の金持ちだったんだ。執事さんなんて…
そして
「…新藤慧って本当にモデルだったんだね」
撮影してる時の新藤慧は何ていうか、凄かった。
別人みたいだった。
「は?何だそれ」
眉間に皺を寄せあたしを見る新藤慧。
――普段はこんな仏頂面のクセに…
「ね、笑ってよ」
「…は!?」
「やーだって新藤慧って普段全く笑わないじゃん?」
「…うるせーな放っとけよカスアホブス!」
カッ!?
「ちょっと!あたしあんたのせいで今日の午後の授業出れなかったんですけど!?」
「へー」
「へー!?」
「つかうるせぇ黙れ」
乱暴にそう言って車の外に視線を移す新藤慧。
こいつ…
もっと喚いてやろうか!?
「で、お前の家どこだよ」
「…は?」
突然の質問の意味が分からず聞き返すと、新藤慧が煩わしそうにもう一度繰り返した。
「だからお前の家どこだっつってんだよブス!」
あたしの家!?
「…そんなの聞いてどうするの?」
何をする気なんだ…