イケメンの顔面踏んづけた結果。
そして現在、お母さんに言い渡された“イケメンくんを送ってきなさい”という任務遂行中…
何であたしが!!
「なんか母親も弟も、お前に似てたな」
「そう?」
あんまり言われたことないけど。あたしはどっちかというと父親似だし。
「そー。なんか雰囲気とか」
「ふーん」
雰囲気ねぇ。
「つーか何か仲良いな」
「えーそう?弟と毎日喧嘩するけどね」
「…それが仲良いってことじゃねぇ?」
ふ、と少しだけ微笑んだ新藤慧。
…なんかいつもと違う。
そこで思い出したのは…あの、お兄さんの冷たい瞳。
コイツんちが色々ありそうっていうのは、さすがのあたしでもちょっと…察している。
「し、新藤慧の家は喧嘩とか…しないの?」
「喧嘩?」
怪訝な顔をされた。
…あ…やばい。無神経だったかも。
「ご、ごめん。なんでもな…」
「…昔はしてたけど」
新藤慧があたしから視線を逸らして、どこか遠くを、ボンヤリ見つめる。
「くだんないことで。
でも…なんつーか昔と変わったから兄貴。いろいろ」
…変わった?