イケメンの顔面踏んづけた結果。
新藤慧たちの三者懇談がはじまり数分。
あたしはドアに耳をくっつけて、中の会話を盗み聞きしていた。
「ちょっと綾世!やめなさい!」
お母さんが注意してくるけど、だって気になるんだもん。
新藤慧の家はすっごいお金持ちで、悔しいことに成績もいいし、モデルだし…
超気になるじゃん!進路!!
「…えー…慧くんは成績も問題ないですし、一応希望は……」
微かに先生のそんな声が聞こえてくる。
「こないだ提出して頂いた進路調査票ですが「T大だ」
先生を遮るように、ハッキリした声で言い切ったのは新藤慧のお父さん。
T大っていったら、総理大臣なんかも排出している超有名大学だ。
「息子にはそこで経営学を学んでもらう。それ以外はありえません」
「そ…そうですか…慧くんの成績なら、そこも十分合格圏内です」
えっ…マジか。やっぱ頭よかったのか新藤慧…
でも、T大ってことはやっぱ家の後継ぐんだ…なんて思っていると
「で、ですがこないだ慧くんと行った二者面談では…」
言い淀んでいる先生の声。
「…お父さん」
その時やっと、新藤慧の声がした。
「俺はT大には行かない。卒業後はモデル一本でやっていく」