イケメンの顔面踏んづけた結果。
「…さっきお父さんに勝手なこと言ったのはごめん」
新藤慧がゆっくり視線をあたしに向ける。
「でもムカついたんだもん。
新藤慧は自己中だし口悪いし性格も悪いけど、モデルって仕事真剣にやってるのは知ってるから」
「お前…さりげなく悪口言いまくってんじゃねーよ」
だって事実じゃん。
「お前は…どうすんの?進路」
すると、急にそんな事を聞いてきた。
「あたし?あたしは…まぁ何でもいいじゃん」
「は?何だそれ教えろよ」
「新藤慧には関係ない」
「お前なぁ、人のは盗み聞きしといてよく言うよ」
…確かに…
と図らずも新藤慧の主張に納得。
だって言ったら、絶対バカにしてくるし!
…あたしの夢は…中学校の先生になること。
でも言ったらお前バカのくせになれるワケねーじゃんバカ!!って絶対言うし!!
だから絶対言わない。これはもう心に決めた。
「…ま、いいや」
ため息を一つついて、新藤慧が立ち上がった。
「お前どーせ俺のこと嫌いだしな」
「はぁ?」
何で今そんな話が出てくんの?
「嫌いだから俺には何にも言いたくねーんだろ、バーカ」
…なんかコイツ、拗ねてる?ていうか嫌いって言ったこと根に持ってる?
「あの…別に、好きとか嫌いとかじゃなくて「でも」
あたしの言葉を遮るようにして、振り向いた新藤慧。
「俺は嫌いじゃない。………たぶん」
そしてクルッとすぐに前を向いて、スタスタ歩き出した。