イケメンの顔面踏んづけた結果。
慧side
“何であたしを見て言うの?”
そう言ったときのアイツのキョトンとした顔。
その横で爆笑をこらえている葵。
すっげームカつく!!!
学校から帰ってくるやいなや、俺はベッドにダイブして仰向けに寝転がった。
何でこんなにムカついてんのか自分でも分かんねーけど。
ていうかいつもそう。何でもないことでもアイツが絡むと、無性にイライラする。
その時、俺の苛々を逆なでするように、コンコン、とドアをノックする音がした。
「なんだよ!?」
キレ口調で返事をすると、ドアが開いて現れたのは渋い顔した親父。
「お前も新藤家の人間ならもう少し口を慎め」
…はぁ、出た。親父にとって一番大事なのはいつも、“新藤家”。もとい“新藤グループ”。
「…で、なんですか?何か用ですか?」
俺は仕方なくベッドから上半身を起こして聞いた。
「…こないだ言っていたお見合いの件だが、来週の日曜日に決まったからな」
「はぁ?来週の日曜?」
…まさかそんな早いとは思わなかった。
「…言っとくけどしねーからな、見合いなんて」
「ふざけるな。もう話はついてる」
「勝手に親父が進めただけだろ!いつも決定事項だけ言ってきやがって」
息子の意見なんていつも無視。
「だいたい、何で一橋商事なんかと見合いする必要があるんだよ。
…俺は新藤グループの後は継がないってこないだも言ったよな?」
「…それはお前が決めることじゃない」
そして一方的に話を切り上げ、背を向ける親父。
「いいな、来週の日曜日。空けておけよ」
…あーうぜー。