イケメンの顔面踏んづけた結果。
「…新藤、あのさ」
立ち尽くす俺に声をかけてきたのは関口。
「いつまで鈍感やってる気?」
「…は?」
…なに言ってんだコイツ。
睨むとなぜか呆れたようなため息をついて。
「あのさ、いい加減にしろよ?」
逆に睨み返された。
「じゃねーと岡、とられるよ?つーか俺がとるから」
そしてあっさり俺に背を向け、走ってアイツの後を追っていく。
…アイツをとられるって…
別に勝手にしろよ。
心の中でいくらそう言い聞かせてみても、
…もう分かってしまった。
このアヤフヤな想いの正体も
コントロールできない感情も
今まで感じたことない苛立ちも
その根底にあるのは
とられたくない
そんな明確な気持ちだけ。
「…麗華」
「え、なに?」
「がんばろーな、来週の日曜」
絶対やらねーよ、アイツだけは。